成功事例報告
閉店の危機
美容室歴23年、出店して2年。
博覧会でにぎわった名古屋は千種区覚王山という閑静な住宅街に建つマンションの1回に美容院、G店はある。
オーナー、Hさんは今年の1月、これまででもっともつらい日々を過ごしていた。
「毎日泣いていました」と語るHさんは、オープン2周年のこの店を、閉店する覚悟を決めていたのだ。
「自己資金をつぎ込んでの赤字額の補填はもう限界でした。4月までがんばって状況が変わらなければ、店を閉める覚悟を決めていました。」
期限を切ったHさんは3名のスタッフをまえに、店の経営状況をありのままに話す。
「お金が無い。いまのままでは存続は不可能。そうなったらほかの店を探してもらわなければならない・・・・」。
残された期間は、あと3ヵ月だった。
高校卒業後に就職した美容院で店長まで昇格したHさんは、10年目ではじめての転機を迎えていた。
店では気心知れたお客様が多くついていた。そのうえスタッフはみんな仲よし。居心地のよい店だった。
この恵まれた環境にHさんは「このままでいいのかしら?」と疑問を抱く。
「ぬるま湯につかっているのではないか?」という危機感が、やがては独立を考えていたHさんに、変化を求めさせていた。
仲間からの反対を押し切っての退社を決心した。
その後、2店の美容室に勤めた後、オープニングスタッフとして新店に入り、自らがその店のオーナーとなるなどの経験を経て、「これ以上の物件はない」という覚王山のこの場所に出合った。
そうしてオープンを迎えたG店。
しかし営業を開始してみると、待っていたのは予想外の現実だった。
お客様が来ない。
「新築マンションの、まるでモデルルームだった」という予期せぬ状況が待っていた。
Hさんは語る。
「悪い時代を経験したことがなかったから、同じようなサービスを提供すれば、同じようにお客様は来るものと考えていた。盲点であり、驕りだったかもしれません」。
開店初月、想定していた売り上げの半分にも満たない。
Hさんは「愕然とした」。
その後も苦戦が続いた。
状況は好転せぬまま、「それまでにできることはすべてやっていた」と言い切るHさんは2004年10月、最後の選択をする。
「この人に頼んでみよう」とSPCN Dream−Linkの塚本さんを招くことにした。
塚本さんは美容院の収益改善の請負人だった。
コンサルティングをしていくうえでは、2つの約束があった。
@割引は絶対にしない
A販促に極力コストをかけない。
このオーナー方針のなかで改善活動ははじまった。
失客を止めよ
そこではじめたのは「3つの特典」制度だった。
これは次の予約を行なうと、次回来店時に受けられるオプションサービスを3つのなかから選べると言うもの。
平均客単価が1万円を超える同店は失客が多かった。
失客防止は急務の課題となっていた。
安定した売り上げを確保していくためには、当然のことながらリピート客を増やしていくしかない。
リピート客をとるために同店ではこれまでも予約カードがあるにはあった。
ただ機能していなかったのだ。
「お客様にとって、予約をするきっかけがなかった」(Hさん)。
次回来店につなげる仕掛けになっていなかった予約カード。
そこに特典を用意して、リピートにつなげることとした。
「きっかけをつくって、特典をつけただけなのに、予約をとってもらえる」とHさんは感心した。
2月のお客さまは確実に4月のお客さまに。次回予約を習慣化させていった。
しかもこの施策、「3特典」それぞれのサービスは、同店のお客様の声から挙げられたものだった。
コンサルティング開始と同時に実施したCSアンケートがある。
これによって明らかになった、お客さまが求めるサービスだったのだ。
だが、当初はオーナーには店内でアンケートを取ることに抵抗があった。
そこでスタッフミーティングでアンケートに自分たちらしさを出すことにした。
そして同店オリジナルのスタイルに仕様変更。
これで高い取得率をめざしていったのだ。
取得の確実性を高めるための工夫も、スタッフ同士のミーティングのなかから生まれている。
スタッフたちが考えた方法は、アンケートのお願いを2人1組で行なうことだった。
アンケートに導く流れを守り、高い取得率を実現。
1ヶ月平均90%台の高い数字を残せるようになった。
じつは同店は売り上げに占める店販比率が非常に高い店でもある。
「よい商品しか置いていないからおすすめして当たり前」というHさんの方針が明確になっているためだ。
じつにすすめ上手で、洗練されている。
この高い販売力がアンケート取得でも大いに力を発揮した。
アンケートでお客様の声を確実に取る。
それに耳を傾ける。
そこから生まれた施策が、「3特典」だった。
G店のベースにある、お客様に対する「想い」。
それを具現化したひとつだった。
一方、新規対策としては徹底したポスティングを実施した。
オーナーの方針のもと、割引をコストをかけない制約のなかで、「手書きチラシ」のポスティングを定期的に実施した。
幸い、「予算はないが時間はある(笑)」。
ポスティングもこれまでとは違う工夫ができたという。
手間ではあったが、3つ折ではなくチラシを丸めて紙の輪でとめた。
そしてポスティングエリアを絞り、配布目標を立てて用意した目標枚数を手分けして配布し切った。
地道な活動ではあるものの、こうした取り組みが行われて以降、売り上げは上昇に転じはじめる。
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経営コンサルタントの視点
同店の成功要因は、失客の穴を塞ぎ、リピーターを確実に積み上げていった点にあります。
リピーターづくりの鉄則 @顧客感動満足度を徹底的に高める A再来店のきっかけづくり B接触頻度を高める を高いレベルで実践されています。 なかでも最重要な@の活動については、CSアンケートの週単位の分析結果を基に、感動・不満比率の目標を設定。それに対する行動目標を立て毎日朝礼・終礼での振り返りを徹底されました。 高い総合感動比率の実現とAの「3つの特典」などの相乗効果で、3ヶ月リピート率は2ヶ月連続で90%をオーバーし、7月に続き8月の昨対売上も152%アップと高い数値で推移しています。 |
3月101%、4月130%と推移してきた。
そしてこの結果によって、同店は「4月閉店の危機」をひとまず乗り切ることができた。
さらにその後、5月127%、6月126%、
そして7月はなんと168%を記録。
過去最高売上を達成するに至る。
そしてアンケート活動ではお客様の不満要因を排除して、感動要因を高め続けた結果、7月の総合感動満足度は75%にまで達した。
「やっとスタート地点に立てた気がする」(Hさん)。
スタッフ一丸となって、さらに高い目標へ向け、
新たな挑戦がはじまっている。
なかでも最重要な@の活動については、CSアンケートの週単位の分析結果を基に、感動・不満比率の目標を設定。









